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Netflix映画『マルコム&マリー』感想、考察。モノクロのアートな映像センスとゼンデイヤの演技が光る会話劇。


Netflixで2月5日から配信の映画『マルコム&マリー』
を観ました。
モノクロの映像と主演のふたりの演技がみどころ!
会話劇に引き込まれました。
評価点78点

『マルコム&マリー』作品情報

監督:サム・レビンソン

製作:ゼンデイヤ、ジョン・デヴィッド・ワシントン、ケビン・チューレン、アシュリー・レビンソン

キャスト:ゼンデイヤ、ジョン・デヴィッド・ワシントン

『マルコム&マリー』あらすじ

映画監督のマルコム(ジョン・デヴィッド・ワシントン)と恋人のマリー(ゼンデイヤ)はマルコムの監督作品のプレミア上映を終えて帰宅した。

映画は観客らから絶賛されて、高揚感に包まれて帰宅したマルコムだったが、マリーは明らかに不機嫌な様子。
スピーチでマルコムが自分に対して感謝の言葉を言わなかったのを怒っているのだった。

映画のモデルは自分で、助言もしたのになぜ「ありがとう」を言わなかったのか問い詰めるマリー。

はじめはなだめていたマルコムも次第にイライラが募り口論になる。

『マルコム&マリー』予告編

『マルコム&マリー』感想、考察

まず、モノクロの映像と部屋の構造がアートのようで音楽も含めてとてもお洒落な雰囲気!それだけでも観て良かったと感じました。(それだけじゃないけれども…)
ベランダからの出入りや他の部屋との繋がりなど全体を見渡せる作りである部屋の構造が印象的です。
ガラス張りでベランダとの境がフラットであったり、寝室の窓から外にいる様子がまるで額縁の中にいるかのように見えます。

映画ではとある一夜の出来事を描いていましたが、この部屋の様子からふたりの普段の生活が垣間見えたように感じました。
いつも互いに目の届く場所にいることが、衝突してしまう原因のひとつではないでしょうか。

会話劇ながら、家が大きな役目を担っているようでとても興味深かったです。

マルコムとマリーの2人きりの会話劇は長まわしで映し出され、とめどなく相手への身もふたもない不満や憤りが交わされます。

それでも仲直りを繰り返す。愛しているなら言えないような辛辣な言葉をぶつけられるのは、「愛しているから」にほかなりません。

愛しているから相手のことを細かな部分まで見てしまうし、嫌な部分にも気づいてしまう。
愛しているから、相手も自分を愛していると思い、本音を言っても許してくれると過信してしまうのです。

本作が素晴らしいと感じたのはふたりの口論の間に愛が垣間見えたことであり、その口論の延長に別れがあるのかどうかはっきりとさせないところでした。

想像では、ふたりはそんな言い争いを繰り返しながらも結局一緒に居ることを選ぶように思います。きちんとこの夜のように思っていることを互いに全て吐き出し合えたなら翌日からまた一緒に居られる。
しかし、こんな風にぶつけ合えなくなってしまったり、ぶつける気がなくなってしまったときが関係が終わるときなのかもしれません。

また、本作で素晴らしいのはゼンデイヤとジョン・デヴィッド・ワシントンの長まわしによる演技と台詞が堪能できるところです。特にゼンデイヤの繊細な演技は素晴らしい!情緒不安定で繊細。それでいて芯の通った彼女から目が離せませんでした。彼女の代表作になったのではないでしょうか。

監督のサム・レビンソンは、Netflix映画『私というパズル』の製作総指揮を務めています。こちらも良作!

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