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『花束みたいな恋をした』感想、考察。あらすじ【ネタばれ】恋のすべてが詰まっている!おすすめ。

2021年2月2日


映画『花束みたいな恋をした』を観ました。
共感の嵐…。おすすめです!

評価95点

『花束みたいな恋をした』作品情報

監督:土井裕泰

脚本:坂元裕ニ

キャスト:有村架純、菅田将暉、清原果耶、戸田恵子、韓英恵、細田佳央太、中崎敏、小久保寿人、瀧内公美、オダギリジョー、押井守

『花束みたいな恋をした』予告編

『花束みたいな恋をした』ざっくりあらすじ【ネタバレあり】

2015年明大前駅で終電を逃した男女、絹(有村架純)と麦(菅田将暉)は偶然出会う。
好きな映画、作家、ミュージシャンなど共通点ばかりのふたりはすぐに惹かれ合ったふたりは、3回のデートを重ねて付き合うことになった。

親からのプレッシャーを受けて嫌々ながら就職活動をしていた絹を見かねた麦からの同棲の誘いを受けて、共同生活がスタートする。

絹はアイスクリーム屋でバイトをはじめ、麦は夢であるイラストのアルバイトをしていたが、イラストのあまりの単価の低さに今後が不安になり就職活動をはじめたのだった。

就活は絹が先に病院での勤務が決まり、麦は遅れてだが物流システム会社への就職が決まった。

これで安定した暮らしを2人で出来ると喜んでいた麦だったが、あまりの激務に身体的にも精神的にも疲弊していく。

2人でいく予定だった舞台や、昔は楽しみにしていた作家の新作についても麦は興味を示さなくなる。

すれ違いが続くふたり。ある夜、口論の末に麦が最悪な状況でプロポーズをしまい、さらに関係は冷めていく。

共通の友人の結婚式の帰りにファミレスに行って、別れ話をするふたり。近くの席ではかつての出会った頃の2人のような恋がはじまったばかりの若い男女が居た。

別れてから時が経ち、偶然互いに別の相手とのデート中に遭遇してしまった麦と絹。
背中で手をふって爽やかに別れたのだった。

『花束みたいな恋をした』感想、考察。【ネタバレあり】

ただ一組の男女が出会い、別れるだけの映画。言ってしまえばそういう内容ですが、彼らが出会い求め合い、すれ違うその中に自分の思い出が重なるような映画でした。

取ってつけたようなセリフじゃなく、ごく自然な絹と麦のやりとりが微笑ましい。そして、恋愛映画にありがちな何かアクシデントが起きて(余命僅かとか)関係が一変するようなストーリーじゃなくただふたりの5年の道のりに寄り添ったようなストーリーに共感が止まりませんでした。

これってあの時のわたしだ。と感じた人はきっと多いんじゃないでしょうか。
もれなく、私も共感の嵐で涙が…。

花束のような恋の思い出

本作は、恋をしたときのときめき、結ばれたときのぬくもり、すれ違う切なさ、その全てが描かれています。

恋の終わりには、一緒に行った場所や食べたものなどの思い出だけが悲しく残るようにも思えますが、そのことを悲観的ではなく花束のような幸せな思い出として、明るく締めくくるラストが素晴らしいと感じました。

2人で行った場所に他の人と行って別の思い出ができることもあるし、同じものを食べて違う感じ方をすることもある。未来にはまた違う思い出がつくられるのです。

忘れられなくてもいい、そのときの思いは未来の自分の幸せに繋がっているのかもしれないと。

また、5年間の中に世間での大きな出来事がないのも良いです。2015~2020年という設定で、触れられたのは台風による多摩川氾濫のことくらい。

物語はふたりの生活や関係にだけ言及していて現実はそんなものだからこそ、そこに共感が生まれるのだと思います。

価値観が近いからこそ変化に敏感になる

絹と麦は互いに価値観、好みがとても近かったからこそ相手が変わってしまうこと、そして変わらないことに対して敏感になっていきました。
共通の趣味が無くても惹かれあい付き合うカップルはいるけれど、本作はその趣味が同じだったことによって、より彼らの心のすれ違いを分かりやすく描いていたと思います。

ポップカルチャーの固有名詞がほんとうに沢山出てきましたが、映画好きとしてはニヤついてしまいました…!

早稲田松竹、下高井戸シネマ。アキ・カウリスマキの『希望のかなた』、『ク―リンチェ少年殺人事件』などチョイスが大正解すぎます。
期待しかないラインナップ。分かりすぎる…!

最後に、偶然再会したふたりが絹は「多分あれ私があげたイヤホンだ。」という今のことを考えていたのに対して麦は「あの映画や本についてどう思ったのかな?」などと彼女の過去のことを考えていることを気にしていたところに差が出ていたのが面白いとも感じました。

未練のあるなしとかではなくて、それぞれ考えていることが違うって当然だから。

恋愛映画といえば、というと真っ先に名前をあげたい映画となりました。

※画像は映画.COMより引用

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