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Netflix映画『ヒルビリー・エレジー-郷愁の哀歌‐』感想、考察。ネタばれなし。家族の再生を描いたヒューマンドラマ。


Netflix映画『ヒルビリー・エレジー‐郷愁の哀歌‐』を観ました。
ヒューマンドラマとしては家族愛に感動したけど、社会的背景をもう少し描いていたら見応えがあったように感じました。
グレン・クローズとエイミー・アダムスの演技と役作りは凄い!

評価点68点  
 〔2020.11.29投稿〕

 

『ヒルビリー・エレジー‐郷愁の哀歌‐』作品情報

監督:ロン・ハワード

原作:J・D・ヴァンス「ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち」

キャスト:エイミー・アダムス、グレン・クローズ、ガブリエル・バッソ、ヘイリー・ベネット、フリーダ・ピント

監督のロン・ハワードは、『ビューティフル・マインド』(2001)でアカデミー賞作品賞と監督賞を受賞し、『永遠の僕たち』や『チェンジリング』『ダヴィンチコード』などでも知られる監督です。

グレン・クローズは、『危険な情事』『101』や『天才作家の妻 40年目の真実』やなど多数の映画に出演。TVドラマでも活躍しており、エミー賞に3度連続ノミネートされている名女優です。

エイミー・アダムスはディズニーアニメの実写化『魔法にかけられて』や『アメリカンハッスル』『メッセージ』などで活躍しています。

本作はこのふたりの役作りと演技が光る映画でした。

J・D役のガブリエル・バッソは、『キングス・オブ・サマー』『SUPER8 スーパーエイト』に出演している俳優です。

『ヒルビリー・エレジー‐郷愁の哀歌‐』あらすじ

名門イェール大学に通うJ.D.ヴァンス(ガブリエル・バッソ)は、理想の職に就こうとしていたときに、家族の問題によって、記憶から消そうとしていた苦い思い出のある故郷へ戻ることを強いられる。故郷で彼を待ち受けていたのは、薬物依存症に苦しむ母親ベヴ(エイミー・アダムス)だった。幼いヴァンスを育ててくれた、快活で利発な祖母マモーウ(グレン・クローズ)との思い出に支えられながら、彼は自分の夢を実現するために、自分自身のルーツを受け入れなくてはならないことに気づく。
公式ホームページより引用

『ヒルビリー・エレジー‐郷愁の哀歌‐』感想、考察。

アメリカの地域格差と貧困層の問題を家族の再生と絆とともに描いたヒューマンドラマ作品です

家族の絆を描いた映画としてはとてもドラマチックで、切っても切れない血縁の苦しさと愛しさが詰まった映画でした。

ただ観終わって考えてみると、アメリカの暗部を捉えたストーリーとしてはすこし物足りないようにも思えます。

原作ではアメリカの田舎に住む低所得労働者たちの実情について書かれていますが、映画では困難に直面した家族がいかに前進するのかということに焦点を当てた内容になっていました。

母親は交際相手とことごとく上手くいかず、息子に対してパニックを起こしたような態度をとったり、娘に対しても思いやりのかけらもないような発言をします。そして、薬に溺れて周囲に迷惑をかける羽目になります。

しかし母親との生活のすべてが悪夢だったわけではなく、母との楽しい思い出が息子にはありました。

ではなぜ母親は落ちぶれてしまったのか。その部分について映画ではほとんど描かれていません。そういう時代、環境だったと想像するほかありません。予備知識が必要という感じでしょうか。

アメリカは経済成長を遂げる一方で、移民たちの急増等によって田舎の労働者の仕事や利益が減少し十分な生活水準を保ったり、保証を受けることが出来なくなった人々がいます。

そういった人々の思いを代弁したドナルド・トランプの政策は一時大多数国民から支持されましたが、先日の大統領選でジョー・バイデン氏に敗れる形となった今、またアメリカは転機にあるといえるでしょう。
(バイデン氏は移民政策については、オバマ元大統領による政策である強制送還を猶予する政策を復活させるとしています。)

大統領選の影響もあって映画内容は政治に触れない形をとったともいわれているようですが、ロン・ハワード監督の作風からしてヒューマンドラマよりになったのは頷けます。
アダム・マッケイが監督してたら全然違うんだろうな。

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