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『ミッドナイトスワン』感想、ネタバレなし。私の知ってる草彅剛はいなかった。

2020年9月30日

 

私が知っている草彅剛はいなかった!圧巻の演技にただただ感動しました。

立ち振る舞いから、言葉の発し方ひとつひとつが演じていないようで、役柄そのものにしか見えませんでした。

命懸けで守りたい存在ができたとき、強く生きようと決意する女の美しさは凄まじい…

評価80点 

『ミッドナイトスワン』感想、ネタバレなし。

押し寄せる孤独に耐えて生きる凪沙と一果。激動の過程をたどりナチュラルに描かれるふたりの絆に心を奪われずにいられませんでした

トランスジェンダーの凪沙が日々感じる孤独感や「なんでわたしだけ」という嘆きになんども胸が締め付けられた…

草彅剛の演技は、仕草や歩き方ひとつひとつが丁寧かつナチュラルで、話す言葉のトーンやペースまでも完璧に「凪沙」という人物になっていたした。本当に圧巻の一言です。

そして、新人女優の服部樹咲(はっとりみさき)の存在感も素晴らしかったです。黙っていてもその目つきで深い感情を表現しているように感じられました。

今回が映画デビューだった彼女は、バレエで数々のコンクールで賞を取っておりその実力を見込まれて、オーディションで一果役を獲得したそうです。すらっと長い手足が動きをよりダイナミックに美しく見せていました。

映画の内容に関して残念だったのが、後半が少し駆け足だった部分。もしかしたらカットしてしまった部分があったのかなという印象でした。

凪沙と一果のふたりにすっかり心を奪われていたからこそ、もっと見たいという気持ちになったのが正直なところです。

高評価、絶賛の声が多いFilmarks、映画.com4.3のスコアってアベンジャーズエンドゲーム並み…)ですが、あまり構えずにフラットな気持ちで観に行くのが良いのではないかと思います。

全体を通して印象に残ったシーンは、(予告編にも出ていたので書いてしまいますが)バレエの先生が思わず凪沙のことを「おかあさん」と呼んでしまったシーン。凪沙と接する中で性別を通り越して個人として話をしているからこそ出た言葉だし、凪沙のことを内面も知る中で自然と出た言葉だといえるでしょう。

こういったシーンを見ると、実際に自分の身近にLGBTQのひとがいた時、自分がどう接することができるのか考えます。また、性別適合手術についても知らないことが多すぎると痛感しました。

性別適合手術はいろんなパターンがあるようですが、約100万円以上の費用が掛かり術後3か月ほど安静にしていなければいけない場合もあるそうです。また、術後のケアも痛みや手間の伴う場合があり、なんと性別適合手術後70%の人が3年以内に自殺しているというデータもあるとか…。

手術後をしても声や顔などの骨格はそのままなので、まわりからの見られ方が変わらなかったり術前の理想とのギャップに苦しむ人が多いようです。

今回映画を観るまで知らなかったことだったので、多くの人が知るきっかけになるといいと思います。

 

これだけの熱量と愛に溢れた作品を作り上げた監督や製作陣、俳優陣には賛辞を贈らずにはいられない意欲作です!

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