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『ミッドサマー ディレクターズカット版』感想、解釈。あらすじとカットシーン解説。劇場版との比較。【ネタバレあり】

『ミッドサマー ディレクターズカット版』をU-NEXTで観ました。

あの恐怖ふたたび…!劇場で観た時より冷静に観れたのと、カットされたシーンを観るとこれは恋愛映画なんだなと納得しました。

明るく綺麗だからこそ怖い!やっぱり面白いですね…。

評価80点

『ミッドサマー ディレクターズカット版』作品情報

監督:アリ・アスター

キャスト:フローレンス・ピュー、ジャック・レイナー、ウィル・ポールター、ウィリアム・ジャクソン・ハーパー、ウィルヘム・ブロングレン、アーチ―・マデクウェ、エローラ・トルキア、ビョルン・アンドレセン

劇場版が147分なのに比べて、ディレクターズカット版は170分と23分長いです。

映画『ミッドサマーディレクターズカット版』の予告編

映画『ミッドサマー ディレクターズカット版』あらすじ。ネタバレあり。

※伏線や重要な部分は赤字になっています。

恋人同士のダニー(フローレンス・ピュー)とクリスチャン(ジャック・レイナー)の関係は冷めつつあった。
精神的に不安定なダニーを支えながらもうんざりし始めているクリスチャンは、友人らから別れるよう言われながらも、なるべくダニーを刺激しないようにしていた。

ダニーの妹のテリーは双極性障害で両親と暮らしていたが、ある夜「ダニーもう耐えられない。パパとママも一緒にいく。」というメ―ルをダニーに送ったきり連絡が途絶えてしまっていた。

その後テリーはガスを直接ホースから口に吸引し、両親は寝室で眠った状態で死んでいる姿で発見された。

落ち込むダニーを励ますクリスチャンは友人らのパーティへ一緒に参加する。
そこでクリスチャンの友人3人は、ジョシュ(ウィリアム・ジャクソン・ハーパー)、マーク(ウィル・ポールター)、ペレ(ウィルヘム・ブロングレン)らと一緒にペレの地元であるスウェーデンへの旅行計画の話していた。

旅行のことを黙っていたクリスチャンに怒ったダニー。口論の末ダニーも一緒に行くことになる。
羽目を外すためと、夏至祭についての論文のための旅行だった。

夏至祭は、ペレの親族が行う9日間の大饗演で出し物や儀式をすると説明し、

ダニーに去年の写真を見せ「君が来てくれて嬉しい。君の為にもなる」と伝えたのだった。

飛行機でスウェーデンへ到着した後、車で4時間かけて村へ向かう。翌日はダニーの誕生日だが、クリスチャンは忘れているようだった。

ジョシュは、「ヨーロッパの夏至祭の伝統」について論文を書こうと張り切り、ルーン文字の本も持参していた。
「みんなを洗脳したわね」というダニーにたいして「ジョシュはもう決めていたんだよ」と笑顔で答えるペレ。

ペレの故郷、ヘルシングランドに到着した一行。
広々とした高原のなか、ペレは友人や親友を紹介する。

ペレの親友イングマールはロンドンから来た友人のサイモン(エローラ・トルキア)とコニー(アーチ―・マデクウェ)を紹介される。

ダニーらは彼らと一緒にクスリを吸うことになる。ダニーは後で落ち着いてから吸おうと思ったが友人のマークとの気まずい空気に耐えられず、無理して一緒のタイミングでマッシュルームティーを飲むことにした。

ハイになった5人は木陰で休んでいた。ダニーは地面に置いた自分の手の甲から草が生えているのに気づく。

突然立ち上がったダニーは歩き出す。「だめ、いけない。そんな考えは…。もう誕生日なんだし。」とつぶやきながら歩き出す。

周りの人々が自分を笑っているように見えてしまう。泣きそうになりながら目の前にあった納屋に駆け込む。歪んで見えた鏡に驚き慌てて飛び出したダニー。

両親らと寄り添っているテリーの姿が目の前に浮かび消えていく。目が覚めると6時間経っていた。翌日になったのだった。

全員で歩いて目的地へと進む。随分と歩いて太陽のような形をした門をくぐった一行。

花が咲き、白い服を着た人々が出迎えた。牛や犬があたりで自由にしており、笛を吹く人々がいる穏やかな雰囲気だった。

前回の大祝祭から90年ぶり、次回は90年後に行われる祝祭の開会宣伝が行われた。

村人たちがRを横にしたような形で全員が並んで座っていた。男性が問いかけと呼ばれる声を唱えると全員で声を合わせた。

端の人から順に食べ始める。少女が髪を結んで建物から出てきた。視線の先にはダニーら一行がいる。

こどもたちは「愚か者の皮剥ぎ」をしているとコニーらに説明するイングマール。

手をつないでかけ踊る村の人々。先ほどの少女マヤ(ペレの妹)は走りながらクリスチャンのおしりを軽く蹴った。
そしてクリスチャンと目が合うと微笑みかける。クリスチャンは一緒に走りに行ってしまう。

その間にペレはダニーに誕生日のお祝いを言って似顔絵をプレゼントした。

黄色い建物が敷地の奥にあった。神殿で入ってはいけないと注意するペレ。そばにはクマが檻に入れられ、不気味な絵が描かれた布が飾られていた。(惚れ薬の作り方)

宿舎に案内される一行。天井が高く壁や天井柱まで絵が描かれている。一角には歴代のクイーンたちの写真が飾られていた。

ペレはクリスチャンにダニーの誕生日をこっそり伝える。クリスチャンは急いで用意した1ピースのケーキをもってダニーのお祝いをする。なかなかライターが付かず火つけられず微妙な空気になった。

夜になり、明日は「アッテストゥパン」だから早く寝ようとペレがみんなに告げる。

~翌朝~

村人たち全員で席に着く。端に座る人が食事を始めてから全員食べ始める。マークは村人の女性から好意ある視線を感じていた。

テーブルの端に座っていた年老いた男女ふたりが立ち上がり、歌のような呪文のようなものを呟きはじめる。彼らが歌い終えると全員で立ち上がり、小さなグラスに入った飲み物を飲み干した。

白い岩壁の下に集まった村人とダニーたち。

ルビーラダー(聖書のような物)を読みながら歌う女性シヴ。その紙面には絵具の跡のようなものがあった。

崖の上では、先ほどテーブルの端にいた老女が、紋章が彫られた岩に手のひらの血を撫でつけていた。

全員が見つめる中、崖の上から老女は飛び降りて死んだ。続いて老いた男も飛び降りた。
男は落ちたが足を負っただけで死ねず苦しんでいた。

ハンマーを持った男女数名が男の頭を何度もたたきつけてつぶした。

パニックになるサイモンとコニーは「なぜ助けないんだ」と問いただすが、女性のリーダーのような存在のシヴは、これは昔から続く慣習だと説明する。

ホルガ(その地の民)での生命のサイクルを遂げて、これから生まれる者に命を与える。彼等にとって喜びなのだと。
老いて苦痛や恐れ恥辱の中で死ぬより善意として行っているのだと説明するシヴ。
「避けられぬ終焉を厭う死はよくない。精神を堕落させる。」とダニーの方を見て言うシヴ。

ダニーはひとりになり、嗚咽を漏らす。

宿舎に戻ったクリスチャンはジョシュに対して、論文で同じテーマを書くことを伝えた。
ジョシュは自分が先に決めたのにと猛抗議し口論になる。

ダニーは帰ろうと支度をはじめる。ペレは引き止める。ペレは自分の両親が炎に囲まれて死んだからダニーの気持ちが分かると話す。

この地では全員が共同体で家族だから孤独を感じることないと伝えるペレ。そして、クリスチャンとの関係はうまくいっていないだろうと問いただす。

 

顔がつぶれた先ほどの老人2人が火葬され、夜になり特別な儀式が開かれる。

劇場版でカットされていたシーン

数人が川にむかって木を投げ込んだ。しかし、女神が足りないと不満を言っていると1人の男が言い始める。

すると少年ブロルが自分がその身を捧げると言い出す。

体に飾りをつけたブロルに岩を乗せて手足を掴んで抱え、今にも放り投げようとするふたりの男。

ダニーが辞めてと叫んだと同時に周りにいた女性らも、誠意を示したからもういいだろうと言い始める。
少年は川に投げられずに済んだ。

儀式が終わり、やはり帰りたいとダニーはクリスチャンに伝えるが、クリスチャンは論文のテーマのために残ると言い張る。ダニーには1人で帰るように言う。

もう愛してないのね、と聞くダニー。何の関係がある、と言ってごまかすクリスチャン。
「ふたりの関係はずっとこうだった。別れを待つだけだ」というダニー。

「君に花束を渡されて何を望んでいるのか考えた。誕生日を忘れたことを責めているから花束を渡したんだろう」と言うクリスチャン。

怒ったクリスチャンは、その場にダニーをおいて宿舎に帰ってしまった。

ひとりで宿舎に戻ったダニーはジョシュに睡眠薬を貰う。

目覚めると誰もベッドにおらず、誰かが宿舎を抜け出すのが見えた。

外に出てみると、クリスチャンやマークらが車で走り去ってしまった。
という夢だった。

マヤが木の枝のようなものを、眠るクリスチャンのベッドの下に忍ばせるのをジョシュは見ていた。

翌朝、ジョシュはペレにホルガについての論文を書いていいか確認する。名前を伏せればよいと許可を得たジョシュとクリスチャンはふたりで書くことになった。

ジョシュは昨晩クリスチャンのベッドの下に置かれたものをペレに見せて尋ねると、愛情ルーンだとペレに教えられる。妹のマヤはクリスチャンに好意があり、「ビクスミンディグを終えたからもうセックスすることが出来る」とペレは言った。

マークは村人の大切な祖先の木に小便をしてしまい怒りをかってしまう。

騒ぎの最中、クリスチャンがダニーにキスし抱き寄せる。ダニーは「ケンカはしたくない」と謝る。

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コニーはサイモンと帰ることにしたとダニーに告げ、荷物の支度をしはじめる。サイモンからの伝言を伝えに男性がやってきた。「ヤンが彼を駅にサイモンを送ってコニーを後から迎えに来る」という事だった。
おかしいと言い張るコニー。自分を置き去りにするなんてありえないと取り乱して去っていく。

コニーがおいてきぼりになったことをダニーから聞いたクリスチャンは「ひどい、最低だな」と言う。
そう言うクリスチャンを唖然とした表情で見つめるダニーだった。

ダニーは調理場で肉のパイの調理を手伝う。

ジョシュはルビ・ラダーの説明を聞いていた。それはルビン(障害者)によって書かれたもので、長老が解読するのだ。

ルビンが死んだらどうするのだとジョシュが尋ねると、「自分たちの賢者は意図的な近親交配によって生まれる」と説明した。

夕食の時間。

コニーがいないことを心配するダニー。村人のひとりが「ふたりは一緒に駅に行った」言った。

ダニーは、クリスチャンもサイモンと同じことをしそうだと言ってはぶてていた。

クリスチャンが食べていたパイから陰毛が出て吐き出した。飲み物はクリスチャンのものだけ違う色をしていた。

マークは村人の女性に「見せるから」と意味深に誘われて、一緒に行ってしまった。

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みんなが寝静まった後こっそりとルビ・ラダーの写真を撮りに来たジョシュ。後ろからマークが入ってきたが様子がおかしい。(下半身が裸のように見える)
後ろから殴られて気絶したジョシュとそれを覗き込むのはマークの皮をかぶったような人物だった。

翌朝の朝食の場に、マークとジョシュはいなかった。ルビ・ラダーの19巻が盗まれたという話があった。

ダニーは女性らと行動をともにすることになる。クリスチャンはシヴに呼ばれて小屋へと向かった。

女性たちの集まりに参加するダニー。競争の為のお茶を飲むと足から草が生えて見えた。

踊り続けられたものが勝利する儀式に参加するダニー。女性たちと手を繋いで踊りまわる。

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一方クリスチャンはシヴの元へ。小屋の中に通され、占星術的に理想の相手だから一度だけマヤと交われと言われる。性の儀式を見ることが出来るという言葉につられるクリスチャン。

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ダニーは村に来て初めての笑顔で踊りに夢中になる。残り8人に残ったダニーは嬉しそうにクリスチャンの方を見るがクリスチャンは上の空だった。
クリスチャンは謎の飲み物(おそらくハッパ入りの飲み物)を渡され飲んでしまった。

ダニーは最後の一人に残り、女王になってしまった。

ダニーは村人全員から祝福されて食卓に運ばれ、彼女が食べ始めると全員が食べ始めた。

一体何が起きたのかと聞くクリスチャンに手のひらを目の前でたたいた老人。クリスチャンはめまいを起こし、背中を丸めている。(股間を隠すような態勢)

マヤはクリスチャンに目配せをして席を立った。

ダニーは台車に乗せられて運ばれていく。

背中を丸めながらクリスチャンは、促されるままマヤが向かった建物の元へと行く。

クリスチャンはローブに着替え、精力の為だという煙を吸い込んで室内に入る。
そこでは裸の数人の女性が裸で草花の上に横たわるマヤを取り囲んでいた。

(性の儀式が行われる)

そこで行われていたことを見てしまったダニーは取り乱し泣き叫ぶ。村の女たちも一緒に泣き叫ぶ。

儀式を終えて逃げ出したクリスチャンは畑から足が突き出ているのを見つける。

パニックになったクリスチャンが駆け込んだ鶏小屋の中には、皮膚を背中から開かれ宙づりになったサイモンがいた。

逃げようとするクリスチャンだったが、すぐに粉で眠らされてしまった。

最後の式典。

9人の生贄を捧げる説明をする村人。うちふたりはアッテストゥパンで死んだ老人。村人以外からはサイモン、コニー、マーク、ジョシュ。あと2人は立候補したイングマールとウルフという村人の男性。そしてもうひとりは女王が決めることになっていた。

候補者は、クリスチャンが村人の中から抽選で選んだ男性どちらか。

顔を歪ませるダニー。

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クマの解体を子どもたちに教える男性。臓器が取り除かれたクマの横に身動きが取れなくなったクリスチャンが並べられた。

神殿の中に運び込まれる生贄たち。そしてクマの体の中に生きたまま入れられたクリスチャンが真ん中に座らされた。

神殿に火が付き、燃え盛る。

ほかの村人たちはそれを外から見ながら、全身を使って苦しみもがく動作を見せていた。

ダニーは燃える神殿を見ながらニヤリとほほ笑む。

映画『ミッドサマー ディレクターズカット版』感想、考察。ネタバレあり。

改めて観ると、監督が本作のことを恋愛映画だというのも頷けました。初見では村の不気味な美しさと儀式のショッキングさに気を取られていましたが、今回2回目の鑑賞でかなり冷静に見ることが出来て印象が変わりました。

カットされたシーンはクリスチャンとダニーの心が離れていく様子を描いたものだったので、より今回の鑑賞では「恋愛映画」だと感じたように思えます。

正直初見ではラストのダニーの笑顔にぞっとしたものの、今回はダニーの視点に立って観ていたので最後はスカッとしました!

自分のことを優先するクリスチャン

はじめからふたりの関係はうまくいっておらず、クリスチャンは自分が悪者になって彼女を突き放すのが嫌で、別れを切り出せずにいました。
ダニーは元々精神的に不安定だったので、クリスチャンの方から別れを切り出しにくい状況だったのでしょう。とはいえ、愛情が薄まってきているのに情と面倒臭さから別れを切り出さないのは誠意があるとは言えません。

クリスチャンにとって自分のことが第一なので、ダニーを振ることもしなかった。振ると自分が悪者になりそうだから。自分が可愛いがためにすべての行動を起こしていたように見て取れました。

そのことが特に現われていたのは、子どもの儀式の後でした。ダニーとクリスチャンは口論になって、ダニーはその場に置き去りにされます。

翌朝コニーがサイモンに置き去りにされたという話を聞いたときのクリスチャンは最低だなと責めるような発言をしていました。それを聞いたダニーは「あんたがそんなこと言う…?」と言いたげな表情をしていました。そりゃそうでしょう。昨晩置き去りにしたくせにと当然思うはずです。

しかも本人は自分がしたことに悪気を感じていません。自分の論文に必死だからです。

そんなクリスチャンですが、やっぱり可哀そうだったのがマヤとのあのシーン。もはや自分の欲望とは無関係に強要されたあの行為はかなり辛そう。というか地獄…。
個人的にはアッテストゥパンより強烈にむごいシーンだと思います。

ダニーの家族は他殺?


個人的解釈なのですが、ペレは初めからダニーの女王の素質を見抜いていたんじゃないでしょうか。もしかしたら、ダニーの家族はペレに殺された?

ペレは最後の式典でリーダーに褒め称えられます。「新たな血と新たな女王を連れてきてくれた。その直感を誇りに思う」と言われ、ペレは得意げな表情を浮かべていました。

はじめから生贄にするために友人のクリスチャンらを村へ誘った。そして、村で女王になりうるダニーに家族との関わりを絶たせるため殺した。というのはちょっとさすがにないか…。
でもホルガの人ならやりかねない気もします...。そうだとすると、とんでもなくこわいけども!

※画像は映画.COMより引用

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