〔2020.10.16投稿〕

そう思わずにはいられない内容。
男女の「違い」があったとしても、男女の「差」はなくていいはず。
ちなみに私は原作小説は読んでいません。
だいたい小説の映画化作品って、オリジナルを超えられずにがっかりすることが多いので今回はあえて読まずに観に行きました。
後半は本で補完したいかなぁという印象だったのでこれから小説を読むところです。
小説レビューはまた後日アップ予定!
評価75点
もくじ
『82年生まれ、キム・ジヨン』作品情報
監督:キム・ドヨン
原作:チョ・ナムジュ
キャスト:チョン・ユミ、コン・ユ、キム・ミギョン、コン・ミンジョン、キム・ソンチョル、イ・オル、イ・ボンリョン
韓国で130万部の大ベストセラー、そして日本でもブームを起こした小説の映画化作品です。
監督のキム・ドヨンは初の長編映画である本作で、百想芸術大賞(韓国のゴールデングローブ賞)で新人監督賞を受賞!
キム・ジヨン役のチョン・ユミと夫のデヒョン役のコン・ユは、『トガニ 幼き瞳の告発』『新感染 ファイナル・エクスプレス』に続き、本作で3度目の共演
となっています。
チョン・ユミは本作で大鐘賞映画祭で主演女優賞を受賞!
母役のキム・ミギョンは同映画祭の助演女優賞にノミネートされました。
『82年生まれ、キム・ジヨン』感想、考察。ネタバレあり。【原作未読。】
本作は、ジヨンの子ども時代、学生時代、会社員時代、新婚時代などを行き来しながらストーリーが展開していくので観る人によってはわかりにくい印象をうけるかもしれません。
大ヒットした原作ありきの映画だからこそできる詰め込み方のような気もしますが、その説明の無さが個人的にはほどよく観やすかったように感じました。説明過多ほど無粋なものはないので…。
子育てに疲れたキム・ジヨンにさまざまな人格が憑依してしまう、というストーリーですが彼女がそうなってしまった背景には子育てのつらさ以外にもたくさんの要員が隠れていました。
むしろ子育ての大変さよりも、女として生きる困難さを描いています。
痴漢や暴力はみずからの不注意だとみなされ、会社内では男性優位のシステムのせいで出世できず、専業主婦は楽をしていると見下される...。
日本で起きていることとほとんど変わらないはずです。
父親や親せきが男である弟をひいきするというのはさすがに極端に昔の習性かもしれませんが、「家を継ぐ」という文化が残っている家庭はいまだに日本でもあるのではないでしょうか。
さらには、嫁姑問題やワンオペ育児の大変さなど、ほんとうにありとあらゆる女性のつらさを具体的に描いているので、共感と同情の嵐です。
女性でいること、自分でいることをすべて否定され続けてしまったことでジヨンの心は壊れてしまったのでしょう。
それでも懸命に目の前のことに取り組もうとする彼女の姿とやりきれなさに涙が出ます。
ジヨンを演じたチョン・ユミは疲れきって弱々しい表情から一変、希望と強さがみなぎる表情へと変わったのが見事でした。
夫役のコン・ユが涙ながらに謝るシーンも申し訳なさと愛しさがあふれだした表現で、印象に残っています。
そしてなんといってもジヨンの母親役のキム・ミギョンの存在感!彼女の泣きの演技はザ・韓国ドラマという感じ。
だけど母の愛はやっぱり胸を打つ。。劇場内ですすり泣く声が響いてたなぁ。
公開翌週の水曜(サービスデイ)に観に行ったこともあってか、9割以上が女性客
!
しかもだいたい3人以上のグループで来ていて、あれツアーかな?と思うような集団もいたのには本当に驚いた。
ジヨンの父親といい、夫や弟といい、肩身の狭いポジションだった男性陣。
本作を観た男性はどういう感想を持つのか気になるところです。反発もありそう。
男性にもぜひ観てほしいし、知ってもらいたいこと山盛りだけど、理解できるかな?という懸念もある感じ。
夫が観たら感想をぜひ聞いてみようと思います。
小説との違いはこちら。
-
-
猛犬を更生させることはできるのか?映画「ホワイトドッグ 魔犬」を観て。
あゆみ邦題が、「ホワイトドッグ 魔犬」なんて恐ろしいタイトルなもんだから犬が人を襲うB級ホラーと思いきや、人種差別問題を描いた社会派映画の傑作だった! 犬が人間を襲うシーンにはホラー並みの恐さがあり、 ...
続きを見る