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『聖なる犯罪者』あらすじ、感想。ラストの解釈。罪人は聖人になれるのか?【ネタバレあり】


新宿武蔵野館にて『聖なる犯罪者』を観てきました。
善悪の定義を揺るがす衝撃作!人間の強さを感じる映画でもありました。

評価点83点

 

『聖なる犯罪者』作品情報

監督:ヤン・コマサ

キャスト:バルトシュ・ビィエレニア、エリーザ・リチェムブル、アレクサンドラ・コニェチュナ、トマシュ・ジェンテク、Leszek Lichota、Lukasz Simlat

 

『聖なる犯罪者』予告編

『聖なる犯罪者』あらすじ

少年院に服役中に神父になりたいと思いながら、犯罪歴があるため諦めていたダニエル。仮釈放中に勤めに行った製鉄所の近くの教会で神父に間違えられ、司教の代理を任せられてしまった。
神父のふりをして村人たちと向き合う中で、悲惨な交通事故が皆を苦しめていることを知る。
事故の真相が明らかになるにつれてダニエルはあることを思い立つ。しかし、そこにダニエルの正体を知る者が現れる。

 

 

『聖なる犯罪者』感想、考察

「何を信じるのか、何から赦されるのか」という問いが頭に巡る、とても衝撃的な映画でした。

仮出所した時のダニエルは、目に光がなく不健康でやばそうなやつの雰囲気でしたが、神父として村人たちに信頼されるようになると別人のように変わっていきました。

生き生きと説教をする姿からは自信が満ち溢れ、その佇まいは聖人そのもの。変貌ぶりがすごい
もはやこのままバレなければいいのにと思ってしまいました。

村で起きた事故に対して、悲しみが憎しみを生む負の連鎖に包まれていた遺族たちは偽りの聖人ダニエルを信じるようになります。

協会に通う信心深い彼らが信じ、救いを求めたのが罪人だったというのは皮肉です。人が本当に信じているのは神ではなく、救いを与えてくれる誰かという存在ということではないでしょうか。

そしてダニエル自身は、偶然にも与えられたその神父という立場に救われたのです。

 

『聖なる犯罪者』ラストネタバレと解釈


もっとも印象的だったのはラストシーンです。

【ラストシーン】

刑務所に戻ったダニエルは決闘で相手を何発も殴り、やりこめます。そしてその部屋に火が放たれ囚人のひとりに外へ逃がされました。

外へ出たダニエルは血まみれの顔面で目を見開きながらまっすぐ歩きだします。

 

カメラワークがダニエルの動きを臨場感いっぱいに表し、彼の眼差しの中にぎらついた生命力が感じられました。
血まみれの顔面はとても聖人とは言えませんが、映画冒頭に比べるとそこには強い意志が感じられます。

どんな形でも生き抜いてやろうと覚悟したような、自分自身を貫くことに決めたように見えました。
新たに彼の人生が始まると予感させるラストだったのではないでしょうか。

村にいた娘もヒッチハイクしてどこかへ向かうシーンがあり、兄の死と母への葛藤を乗り越え自分で選んだ道に進もうとする姿を描いていたように思えます。

※画像は映画.COMより引用

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