
こんな哲学的なアニメ観たことない…。素直な気持ちになれる映画です。
評価90点
もくじ
『ソウルフル・ワールド』作品情報
監督:ピート・ドクター
キャスト:ジェイミー・フォックス、ティナ・フェイ、グレアム・ノートン、レイチェル・ハウス、アリシー・ブラガ、リチャード・アイオアディ、フィリシア・ラシャド、ドネル・ローリングス、クエストラブ、アンジェラ・バセット、マーゴ・ホール、ダビード・ディグス、ローデッサ・ジョーンズ、ウェス・ステューディ、サキナ・ジャフリー
本当なら映画館で上映されるはずだったものの、コロナウイルス感染拡大の影響でDisney+限定配信となった本作。スクリーンで観ることが出来ず残念でなりません…。
あのシネフィルで知られるオバマ元大統領も2020年ベストムービーに挙げている本作。おそらくアカデミー賞長編アニメーション部門受賞するんではないでしょうか。それか『ウルフ・ウォーカー』か。
Like everyone else, we were stuck inside a lot this year, and with streaming further blurring the lines between theatrical movies and television features, I’ve expanded the list to include visual storytelling that I’ve enjoyed this year, regardless of format. pic.twitter.com/a8BS8jDkSs
— Barack Obama (@BarackObama) December 18, 2020
『ソウルフル・ワールド』予告編
『ソウルフル・ワールド』ざっくりあらすじ
ジャズミュージシャンに憧れるジョーは、中学校の非常勤音楽教師をしていた。ある日、プロミュージシャンになった過去の教え子から有名なジャズミュージシャンのバンドの代打メンバーに誘われる。
そのバンドの初ライブ直前に浮かれて街を歩いていたジョーは、マンホールの穴に落ちて意識を失ってしまう。
目覚めると魂(ソウル)たちが存在する世界にいた。生前のソウルが「きらめき」を見つけ、持っているバッジの枠が埋まったときに地上に行くことが出来る仕組みになっていたのだった。
ソウルが「きらめき」を見つける手助けをするのが、メンターという死者の魂の役目。ジョーはひねくれもののソウル(22番)のメンターになり、一緒に「きらめき」探しを始める。しかし、地上に行きたくないと思っている22番のきらめきはなかなか見つからない。
地上と行き来する方法を知っているムーンウィンドという人物の手助けを借りてジョーは地上に戻ることが出来た。しかし慌てて降りたせいでジョーの魂は猫の中に。ジョーの体には22番の魂が入ってしまう。
それでも何とかライブに参加したいジョーは体を戻そうとする。ジョーに連れられて22番は地上で初めて美味しいものを食べたり、人と喋ったり音楽や外の空気に触れる中で幸せを感じ始めていた。
またムーンウィンドの力を借りてジョーは体に戻れることになったが、22番はこのまま地上に居れば自分のきらめきが見つかるかもしれないと思い体を返したくなくなってしまった。
そんな時に、天界から使いがやってきてふたりは引き戻されてしまう。気づけば22番のバッジの枠は埋まっていた。しかしジョーは、死後の世界に向かわなければいけない。自分の体に入ってきらめきを見つけた22番に納得ができないジョーは、22番を責め立てる。22番は傷ついてバッジをジョーに投げつけて消えてしまった。
ジョーはそのバッジを持って地上に戻ってきた。予定通りライブに参加して、結果は大盛況。しかしジョーの気持ちは晴れない。
ジャズミュージシャンとして演奏するのはずっと夢だったのに、叶えてしまったら意外にも幸せを感じられなかったのだ。
自分の幸せとは、22番が感じたように日々の暮らしの中にあったと気づいたジョー。
22番のことが心配になって天界へ戻ると、22番の魂はさまよい暴走してしまっていた。ジョーは22番に「生まれていいんだ。きらめきは目的じゃなくて生きる準備ができたということなんだ」と伝える。
22番は正気を取り戻し地上へと降りていった。ジョーは死の世界へと向かうはずだったが、天界の使いの計らいでもう一度地上で生きるチャンスを得ることが出来たのだった。
ジョーは、今度は一瞬一瞬を大切に生きようと誓うのだった。
『ソウルフル・ワールド』感想、考察。
この世界にさまよえる魂をかかえた人はどれだけいるんだろう。そんな世界中の人々をそっと包んでくれるような作品だと思いました。
ものすごく哲学的だけどわかりやすい!生前の世界観という設定がわかりやすくて、ファンドマネージャーが病んじゃってるところとか、ゾーンに入ってる人は魂がさまよう人の近いところにいるというところは共感しやすかったです。
「生きる目的」「自分の才能」そういったものを探すひとがいるのが普通だと思います。多くの人はそういった「きらめき」を探して生きています。
だけどそれは探すものじゃなくて気づくもの。目的を探している時点で自分がいかに手に入れているものが多いのかを自覚すべきなのかもしれません。
人はいつも自分にはなにか足りない、なにかが欠けていると思ってしまいがちです。向上心があることは素晴らしいことです。
しかしなりたい「理想」と幸せだと感じる「状態」は果たして同じでしょうか?
「理想」を叶えた時、本当に幸せと感じることができるのでしょうか。それは「欲求」であって叶えたらまた別の「欲求」が出てくるはずです。それをずっと追いかけ続けたさきに、幸せと思える「状態」は待っているのか?
無心に理想を追いかけるのではなく、自分の心の状態に目を向けて幸せをかみしめることの大切さを改めて感じてみてもいいのではないかと思います。
人生の本質というか、幸せについて考えるきっかけをくれたこの作品に感謝したくなりました。
いつの時代も愛される名作に違いありません。ジャズって生きよう♪