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『ナンシー』感想、考察。【ラストの解釈あり。】ホラーじゃない!繊細なヒューマンドラマでおすすめ。


Amazonプライムで100円セールになっていた『ナンシー』を観ました。
ポスターからてっきりホラーだと思ったら繊細なヒューマンドラマだった!おすすめ!

評価点78点  

 

『ナンシー』作品情報

監督:クリスティーナ・チョー

キャスト:アンドレア・ライズボロ―、J・スミス=キャメロン、スティーブ・ブシェミ、アン・ダウド、ジョン・レグイザモ

2018年製作のアメリカ映画。サンダンス映画祭で脚本賞を受賞しています。日本では2020年にヒューマントラストシネマ渋谷とシネ・リーブル梅田で開催された「未体験ゾーンの映画たち2020」のみで上映されました。

『ナンシー』予告編』

『ナンシー』あらすじ。ネタバレなし

顔を見ると悪態ばかりで手が焼ける母の介護に疲れたナンシーは、過去の辛い出来事から恋人を作ることもできず鬱々と過ごしていました。そんなある日、テレビで娘を30年前に誘拐された夫婦がいまだに彼女の行方を探しているという番組を目にします。

そこで公表された娘の現在の姿のモンタージュ写真が自分に似ていたことから、実は自分は幼いころ誘拐されて今の家庭に来たのではないかと考えるようになりました。ナンシーはその夫婦に連絡を取り、会いに行くことにしたのでした。

『ナンシー』感想、考察

これ、ホラーだと思ってたら繊細なヒューマンドラマでした。

このポスターでホラーだと思わない方が難しくないですか?かなり不気味…。

しかもいくつかの映画サイトでもサイコホラーやミステリーっていう説明をされていて、いや全く違うんだけど…。となりました。
もったいないと思う。実際はすごく繊細で心の痛みと希望を描いた映画なのでもうちょっと別なアプローチをしたほうがたくさんの人に見てもらえるんじゃないでしょうか。

いつも悪態ばかりの母の介護に追われ、自分の人生に希望を見いだせず暮らしていたナンシーが、実は自分は誘拐されてきた別の家庭の子どもではないかと疑い始めることから物語は大きく動きはじめます。

だけど、前半で描かれたナンシーの冴えない生活や、つらい過去を思わせるブログ内容や言動もしっかりと伏線として十分な内容です。ここがあるから後半の出会いが活きてきます。

娘を誘拐された両親役を演じるのがスティーブ・ブシェミとJ・スミス=キャメロン。ふたりとも本当に良い演技で、疑いながらも信じたい微妙な心境を見事に表情で見せていました。

無言で遺伝子検査をするシーンのそれぞれの目配せや表情がもう素晴らしくて!その生々しい不安な空気がセリフなしその数分で伝わってくるんです。

母役のJ・スミス=キャメロンが決意してナンシーに声をかけるシーンも、感情がせめぎ合う中で絞り出した言葉にグッときました。猫をさがすナンシーを諭す母親感も妙な落ち着きが見事だったと思います。

とにかく最初から最後まで、3人の繊細な演技に圧倒された映画でした。

ラストの解釈(ネタバレあり。注意

※ラストのネタバレがあるので鑑賞前の方はご注意ください。

自分はこの夫婦の子どもではなかったということにショックを受けたナンシーは、夫婦はそれでもかまわないと言ってくれたものの夜に車に乗ってひとりで家を抜け出します。

ラストの解釈については、悲しいですがナンシーにとってのハッピーエンドだったのだと思います。

自分の人生は奪われたものではなかった、必然だったのだと自覚した悲しみに涙しながらも、やっとここから自分の人生を歩き出せるのだと知ったのです。

そして、残された夫婦もナンシーを受け入れたことで今を生きなければいけないと考えられるようになったはずです。ナンシーが去った悲しみはあるかもしれませんがようやく前を向けるようになるのではないでしょうか。

人の痛みと悲しみの奥深さに触れつつ、それでも人同士が繋がり合う愛おしさを描いた映画でした。
もっといろんな人に観てほしい!おすすめ!

※画像は映画.COMより引用

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