
私が2020年に読んだ本なので、新刊ではないものも入っています。
映画関連の本も多めですが、実際に読んでみて面白かった本、勉強になった本をセレクトしています。
もくじ
2020年読んだ本ランキング~ベスト10~
第10位 『BUTTER』 柚木麻子
見た目が美しいわけではないのに数々の男たちを翻弄し、財産を奪った上に殺した梶井真奈子(カジマナ)。週刊誌記者の町田里佳は彼女に面会をするうちに次第に影響されていく…。というストーリー。
梶井が異常なほどの美食家という設定で、タイトル通りバターの美味しい食べ方や、高級バターがいかに素晴らしいかを独特の表現で語る場面が多いのだけれど、それが本当に美味しそうなんです!!
思わず実際にバター買っちゃました。(笑)250gで3,253円のエシレバター。フランス産バターで、上品な甘みがあって至高の美味しさでした。さすがに作中のバターごはんはしなかったけど、やっぱりいいものは良い!
本の内容は、事件がらみということもあってすご~く嫌な気持ちが続きます。その嫌悪感から抜け出したくてひたすら読んでしまった印象です。
先が気になって止まらないっていうのもあるけど、とにかく嫌な気持ち!好きな本というわけじゃないけど不思議と時間を忘れて読みふけった本でした。
第9位 『ステップ』 重松清
映画『ステップ』の公開に合わせて読みました。
妻を亡くしたシングルファザーが幼い娘と生きる10年を描いた感動物語です。映画も良かったですが、本は映画に無いストーリーもあるのでより登場人物たちを深く知れて泣けます。
電車で読んだりするともうグッズグズに泣いちゃってヤバイことになりました…。
10年というのがポイントで、幼かった娘は成長するしワンオペ育児にてんやわんやだった父親も少しづつ変わっていきます。
彼を支える義両親との関係がなによりもハートウォーミング!私も結婚しているので義両親との関わりなど共感しながら読みましたが、思いやりや愛情の深さに感動しっぱなしでした。
映画については映画サイトcinemarcheで記事を書いたので興味がある方はどうぞ。
https://cinemarche.net/drama/step-movie-ayumi/
第8位 『i』 西加奈子
アメリカ人の父親と日本人の母親のもとに養子として迎えられた、シリア出身のアイ。特異な出自のアイがアイデンティティをの物摸索する物語。
まず設定が興味深くて、いろんな観点から驚かされ考えさせれる部分が多かったです。
着眼点の上手さと思春期のモヤモヤの表現や壁にぶつかりながら殻を破ろうともがくアイから目が離せない思いであっという間に読んでしまいました。
幅広い世代に読んでほしい小説だと思います。
第7位 『共感SNS』 ゆうこす
発信者としてもっと力をつけたいと思って読みました。他にもSNSマーケティングについての本は数冊読んだけど、これが一番タメになった!
正直ゆうこすさんのことはあまり知らなかったのですが、すごく苦労したんだな…と。苦難の道あっての今だと分かったし、失敗しても大丈夫。むしろ失敗したほうがいい!ということを学びました。
ほかにもノウハウはもちろん、本質的なセルフプロデュースの考え方についてなど詳しく書かれていて、とても有益な内容です。また悩んだら読み返すと思います。
第6位 『あのこは貴族』 山内マリコ
今年映画化される予定のこちらは、友人の勧めで読んだのですが分かりみが深ーい!内容でした。
東京に住むお嬢様育ちの華子、田舎から上京してキャリアを積み必死に都会にしがみつく美紀、ふたりの対照的な女性二人が思いがけず出会います。
アラサー女子たちの葛藤を描く内容で、あ~わかるーの連続でした。
どちらの立場の心境も分かるしそんななかでもがいて生きている彼女らにエールを送りたくなります。ラストは爽快!本当に読んで良かったです。
第5位 『ラットマン』 道尾秀介
ロックバンドの練習中スタジオで不可解な事件が起こる。真相に近づくにつれて主人公の衝撃的過去が明らかになっていく。
たまに読みたくなるエグい系事件もの!と思いきや深い家族の物語であり、愛の物語でした。
読み始めの不穏さと読後の感情の違いがもの凄い!
思ってた展開が3回ひっくり返されるような面白さは忘れられません。人に薦めたい本ナンバーワン!
第4位 『キネマの神様』 原田マハ
映画好きにはほぼ確実に沁みるだろう良いストーリーです。映画を愛することは人生を豊かにすると改めて感じさせられました。
原田マハさんの本の中では今のところ一番好きです。これ、志村けんさんがお父さん役で決まってたんですよね…。その帯が私の本にはいまだ付いています。
すごくお父さん役にぴったりで、本を読みながら志村さんで脳内再生されていたからとても残念です。
第3位『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』 ブレイディみかこ
イギリス人の夫を持つ著者が、イギリスでの生活から息子と自分が宗教や格差の多様性について学んだエピソードを綴ったエッセイです。エリート校で差別もいじめもない小学校に通っていた息子は、自ら望んで治安があまりよくなく格差やいじめもある中学校に進学することになります。
壮絶ないじめの話があったり危険なエピソードがあるわけではないのですが、アジア人のハーフとして受ける差別や友人間の格差などから息子が自分のアイデンティティを前向きに学んでいきます。
どのエピソードもとてもリアリティがあるのと、シリアスな部分もありながら親子の親しさが感じられるのがとても魅力的でした。
子どもたちの社会にある差別や偏見は大人が大きく影響しているということを改めて感じることができたと思います。
実感としてイギリス内のいや世界の多様性の中に生きることはどんなことかというのを知ることが出来る本です。非常におすすめ!
第2位『82年生まれ、キムジヨン』 チョ・ナムジュ;斎藤真理子
昨年映画化されていたこの本は韓国での女性差別や女性軽視について、ある女性キム・ジヨンの幼少期から就職、結婚出産、職場復帰を通して描いています。
女性はなんて生きづらいんだ…。と思わずにいられない内容なのですが、日本でも十分同じことが起きているはずです。男性にとっては無意識に言ってしまうことややってしまうことがもう差別的だったりするんですよね。
とくに共感したのが出産について夫婦で話し合う部分。男性は「僕も手伝うよ」というけれどふたりの子どもなのになんで手伝うって他人ごとなの??というところです。
私は出産していませんが、女性にとっては人生が大きく変わる一大事なはずです。パートナーと一緒に乗り越える気持ちがなければとても難しそう…。
そして、映画よりも本の方がラストが衝撃的です。さら~っと読み終わって、…え!?っと読み返しました。
これがリアルだなと、きれいごとじゃない現実を改めてたたきつけられたような気がしました。
映画のレビューはこちら。
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『82年生まれ、キム・ジヨン』感想、考察。ネタバレあり。女性の生きづらさが詰め込まれた映画
〔2020.10.16投稿〕 この世は女性にとってなんて生きづらいんだろう。 そう思わずにはいられない内容。 男女の「違い」があったとしても、男女の「差」はなくていいはず。 ちなみに私は原作小説は読ん ...
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映画と小説の比較はこちら。
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「82年生まれ、キム・ジヨン」小説と映画の違いレビュー。あらすじネタバレあり。
(C)2019 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved. 『82年生まれ、キム・ジヨン』小説と映画の違い 82年生まれ、キム・ジヨン /筑摩書房/チョ・ナムジュ ...
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第1位『キッチン』 吉本ばなな
吉本ばななさんのデビュー作として有名な小説です。大切な人を失うこと、そして残されたものが生きていくうえで少しづつ自分を癒し前進しはじめることの力強さを描いたストーリーです。
言わずもがな、ばななさんの文は素晴らしい!難しい言葉をつかったり、かっこつけているわけじゃないのに心にじわ~と沁み込んでくる。普段感じている言葉にしがたい繊細な感情をぴったりの表現でつづった文章は何回も読み返したくなります。
どこか幻想的な展開がありつつも、ファンタジーではなく日常の延長線上にいる、その絶妙なバランス感も素晴らしいです。『白河夜船』も好き!