https://youtu.be/H1EhIaSTz5Y
〔2020.9.6投稿〕
評価95点
少年時代のすべてが詰まっていた。
兄から乱暴に当たられ、母との心の距離を感じているスティーヴィーは、スケボーグループの4人組に出会い、社会を知っていきます。
4人それぞれ家庭環境や人種、将来へのビジョンが違い、特に裕福な家庭ながらふらふらしているファックシットのキャラクターが重要です。
ファックシットの立ち位置は、恵まれた環境にあるのにどうすればいいかわからない。
親への反抗心が、何にもなれない彼を作り上げているというところは、日本を生きる若者でも共感しやすいところなのではないかと思います。
それぞれ悩みを抱えながらもスケボーが楽しいという共通項で繋がっている4人。スティーヴィーは、彼らを見ながら少しづつ本当のクールとはなにかを学んでいきます。
スティーヴィーが憧れる強さやクールさは、ときには危険だったり行きすぎていたりするものの、そこで正しく導いてくれる存在がいることが本作の魅力だと思いました。
彼らが抱える葛藤や迷いを重く感じさせないのは、90年代ミュージックのカッコよさと抜群のタイミングで繋がれるシーンの上手さです。
画角、構図、色合い、フィルム感すべてがかっこよく、アートな雰囲気と日常感のマッチが素晴らしい!全てのシーンを切り取ってポスターにしたいほどです。
スケート映画としては、『ロード・オブ・ドッグタウン』と同じくらい魅力的な作品だと感じました。
印象的なシーンは沢山ありましたが、病室で兄弟ふたりでジュースを飲むシーンが心に残りました。
セリフは一切なく、ポケットから2つのジュースを取り出し、ひとつをスティーヴィーに渡して何か言いたげに絶妙な表情を見せる兄。
ルーカス・ヘッジズの、このなんとも心配と思いやりと照れくささの演技が素晴らしい!
病室×ジュース=名シーンは、『スリービルボード』にもあったなぁなんて思い出しました。
ちなみに一緒に観た夫は、身に覚えがありすぎて逆に観ていてイタかったそう。
道を外れてしまった過去の友人の顔が浮かんでいたたたまれなくなったそうで…。
それだけリアルに少年たちの思春期の葛藤や失敗を描いている本作のリアリティが凄いってことかな。
物語の内容とは全く違う人生を歩んできた女の私としては、スティーヴィ―の成長を見守りとにかくカッコいい音楽と映像に感動しきりだったので、そこは観る人にとって違いが出るおもしろいところかもしれません。
もう一回観たい!2020年マイベスト映画10入り決定です。
※画像は映画.COMより引用