映画

『フェアウェル』感想考察、ネタバレなし。家族のあたたかさと生き方を描くヒューマンドラマ。

2020年10月5日

こんなの泣かないわけないじゃん。けど全体的に笑いに包まれてすごくあたたかい雰囲気。
繊細でおしゃれな新しい中国映画を観た感覚。オーク・ワフィナの自然な演技が良かった。

評価78点


〔2020.10.5投稿〕

 

『フェアウェル』作品情報

監督:ルル・ワン
キャスト:  オーク・ワフィナ、ツィ・マー、ダイアナ・リン、チャオ・シュウチェン、ジム・リュー

ルル・ワン監督長編2作目にして、ゴールデングローブ賞外国語映画賞にノミネート!
オーク・ワフィナが主演女優賞を受賞。ほか数々の映画祭で賞を受賞した作品。
中国系アメリカ人のルル・ワン監督が自身の実際の経験をもとに脚本、監督を務めています。みんな大好きA24!

『フェアウェル』感想考察。ネタバレなし。

大切な人には会えるうちに会っていないと後悔するな、と涙が滲む映画でした。。笑いどころも多かったけど(笑)

主人公のビリーはアメリカ暮らしが長いのもあって、余命を告げるべきだと言い張ります。それに反して告げないべきだと言う中国の親族たち。
日本の常識的に考えたら告げるべきだと思うものの、告げない理由として「親の重荷は子どもが背負うべきだ。親がこれまでそうしてきてくれたように」という主張に妙に納得してしまう部分もある。

余命を知らなければ思い悩むことなくその時が来るまで生きられる。だけど、体が動く内にやっておきたかったことを叶えたい気持ちもあると思うし。。自分だったらどうなのか知りたいような知りたくないような難しいところだな…。

とても難しいテーマだけれど、どちらの主張にも祖母に対する家族からの深い愛情が詰まっているのがこの映画の重要なところだと思います。

伝え方や表現が違っても互いに思いあっている家族の絆は何にも勝る。そんな風に思いました。
家族全員良いキャラで、ビリーのお母さんにとっての姑への思いだったり、親戚全員集まると色々ある感じがすごくリアルだし微笑ましさもありましたね。

また、中国の暮らしの描き方が繊細で温かがあって素敵です。
食卓を囲むシーンが多かったので、おいしそうな料理の数々が沢山見られたし、結婚式などの雰囲気から中国文化が垣間見えて興味深いところです。チワワの芸がめちゃくちゃ可愛くてここは声出してわらった(笑)

ルル・ワン監督によって新しい雰囲気の中国映画に出会った感覚です。
ちょっと雑多でじっとりしてるイメージ(勝手な)から、繊細でおしゃれな中国映画と変わりました!

そして、家族ドラマでありながら経済成長めまぐるしい中国の内情に焦点を当てた映画でもありました。
アメリカや日本に自由と豊かさを求めて故郷を出ていく中国人と中国に残るひとの感覚はこんなものだったりするのかと。
自身が移民だった監督の経験と思いが反映されたほかにないヒューマンドラマでした。

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