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『ラヴソング』感想、考察。ネタバレあり。香港の名作恋愛映画。運命的な男女の10年間を描く。

2020年10月31日


1996年中国映画『ラヴソング』を観ました。

ロマンチックすぎて胸が痛かった。

ちょっとツッコミたくなるところもあるけれど時を経て繋がり合うふたりの運命を感じられる名作!

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評価点78点  
 〔2020.10.31投稿〕
 

『ラヴソング』作品情報

監督:ピーター・チャン

キャスト:レオン・ライ、マギー・チャン、エリック・ツァン、クリストファー・ドイル、クリスティ・ヨン

テレサ・テンの楽曲がつなぐ男女の10年の歳月を描いたラブストーリーです。

1996年の香港映画で、香港アカデミー賞である、香港電影金像奨にて最優秀作品賞、最優秀監督賞(ピーター・チャン)、最優秀女優賞(マギー・チャン)、最優秀助演男優賞(エリック・ツァン)など9部門を受賞。
中華圏の映画祭である台湾金馬奨でも作品賞、主演女優賞を受賞しています。

ピーター・チャンは中国を代表する映画監督兼プロデューサーです。
代表作は『ウィンター・ソング』(2006)や『ウォーロード/男たちの誓い』(2008)があります。

最近では、岩井俊二監督が中国で撮った映画『チィファの手紙』のプロデュースを手掛けています。

先日映画サイトCinemarcheにて『チィファの手紙』の紹介記事を書いたときに、岩井俊二監督の中国での人気の高さを改めて知りました。
そのひとつの例を挙げると、岩井俊二監督とピーター・チャン、主演女優ジョウ・シュンのスリーショットバージョンのポスターが作成されたことです。

スリーショットといえば『PICNIC』のオマージュで、ヘッドホンを用いたところは『リリイ・シュシュのすべて』のオマージュになっていました。外国人監督の顔が認識されて、オマージュが盛り込まれているというのはよっぽどの人気と知名度があっての事でしょう。

今回『ラヴソング』を観ていて同じ音楽をリピートしたり、映像がノスタルジックだったりするところに岩井作品に通じるものを感じられて、中国で好まれる作風なのだなと改めて思いました。

『ラヴソング』あらすじ。

天津から香港へ出稼ぎにきたシウクワン(レオン・ライ)はマクドナルドに訪れたときに、アルバイトをしていたレイキウ(マギー・チャン)に出会う。
実家の両親に家を建てるためのお金を稼ぐために広州から香港に来ていたレイキウのシウクワンは互いに惹かれあっていく。しかし、シウクワンには天津に残してきた恋人シャオティンがいるのだった。

『ラヴソング』感想、考察。ネタバレあり。

たがいに別々の志を胸に中国大陸から香港へ訪れた男女。
苦楽をともにした「同志」の関係がすこしづつ「男と女」へと変化していく。

次第に惹かれ合い、気づけば離れられない存在になっていくふたりの思いがとても切なく、かつ情熱的でした。

あいまいな関係性に甘んじて一歩踏み出せない絶妙な距離感。これは大人の恋愛ならではというか、決して純愛ではない現実感が出ていたのではないでしょうか。

天津に残っていた恋人シャオティンの気持ちになると辛すぎるものの、こういうことってよくあると思う。やはり遠距離はきつい。

また、生きづらい世を駆け抜ける逞しい若者像というのも鮮明に描いていたと思います。

車のシーンはこの映画の名シーンと言えるでしょう。
視線が交わらないながら気持ちは通じていて、彼の背中にクラクションを思わず鳴らしてしまうヒロイン。じれったさと切なさで胸が痛みます。

車から乗り出す形でキスをするふたりを上から見下ろすカメラワークがとてもアートな魅力とドラマチックさが際立っていて印象的でした。

英会話講師役で出演もしていたクリストファー・ドイルが撮影を担当していて、『ブエノスアイレス』や『花様年華』も手掛けているということで同じく魅力的な映像表現が光っていたと言えます。

後半にかけては映画ならではのつじつま合わせな展開といえばそうかもしれません。

強制送還される車から逃げおおせるなんて無理なのでは...。
でもロマンス映画にリアリティの追求なんていらない。ラストシーンが素晴らしかったので問題なしです。

テレサ・テンの歌がつなぎ合わせるふたりの運命にときめきが止まらない恋愛映画の名作だと思います。

Netflix映画『僕らの先にある道』が似た雰囲気でした。最初とラストの作りも似ていてオマージュを込めていたのかと思うストーリーです。こちらもおすすめ。

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